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 告白 / magicien 

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1) 今年3冊目。湊かなえさんの「告白」を読んだ。

娘を亡くした教師の終業式の挨拶から始まる、救いようのない話。
各章が各登場人物の主観で語られており、それ故に情報の欠落や間違いがあり、読み進めていくうちに新たな事実が判明して...というわけでミステリーに分類されていますが、情報が後出しな上に超展開なので、推理で先を読むのは難しそうです。

空中ブランコの伊良部シリーズのように、登場人物や事件にモデルがあるような...
冒頭はFF8のアルティマニアのようだと思い、途中で一瞬ドグラ・マグラのようだと思い、最終的には収集のつかない金八先生のようだと思いました。作中にも金八先生の話が出て来たように思うので、多少なり意識しているのだと思います。

それにしても、今のペースだと目標の達成が危ういですね。毎年12月〜2月あたりは忙殺されているので、今年も2月を越えたあたりから読書のペースを上げられるのではないかと思っていますが、一冊一冊に感想を書こうとすると、本選びの段階から無駄にこだわって時間がかかってしまいます。素直に読みたいと思った本を読んだとき、一番ペースが早くなるのは分かっているのですが。

2013/02/04(Mon) 23:31:52

 凍りのくじら / magicien 

凍りのくじら (講談社文庫) 今年2冊目。辻村深月さんの「凍りのくじら」を読んだ。

冷たい校舎の時は止まると同様、近所の本屋で平積みされていました。
その本屋では辻村さん特集コーナーが数ヶ月間、しかもかなりのスペースを割いて設置されていて、相当好きな人がいるのか、相当売れているのか...それに乗ってみるのもありだと思い買ってみました。

主人公であり写真家の芹沢理帆子がF高校の2年生だったときの話。
10章それぞれにドラえもんの道具の名前が付いているのが特徴。
主人公の性格が残念すぎて読むのが辛いですが、章が細かく分かれているおかげで少しずつ読み進められます。

これまた内容について感想を書けないのが残念ですが、最後の10章で本作に対する評価が一変しました。もう一度読むリストに追加しておこうと思います。

そういえば、主人公の性格を形容する言葉に「覚めている」というのがあったけれど、漢字はこれで合っているんだろうか。作中に二回出てきて二回とも同じだったので、意図してこの漢字を使っているのだと思いますが。
国語辞典を見ても、性格が「さめている」というときに使う漢字は「覚」「醒」「冷」のどれが適切かわかりませんでした。

2013/01/26(Sat) 18:22:34

 ナミヤ雑貨店の奇蹟 / magicien 

ナミヤ雑貨店の奇蹟 2013年の一冊目。東野圭吾さんのナミヤ雑貨店の奇蹟を読んだ。


言わずと知れた理系作家の作品ということで、さぞ複雑なトリックを使う知能犯が登場するのだろうと思いきや、頼り無さそうな3人組の強盗犯が逃げる場面から物語が始まります。
その逃亡犯が一晩の潜伏先に選んだのが、廃屋となっていたナミヤ雑貨店。そこで3人は不思議な出来事に遭遇して...という話。

例によってネタばれしそうなので内容は書けませんが、いくつかの時間軸と何人かの登場人物が出て来て、時間軸×登場人物の数だけシーンが合って、それが割とバラバラに出て来るので、一気に読まないと分からなくなりそうです。
ミステリーではなくファンタジーに近いですが、終盤で次々と伏線が回収されていくのは、さすがミステリー作家という感じです。

話の内容は全く違いますが、「時間軸×登場人物」という形式の物語として、99人の最終電車というハイパーテキスト小説なるものを以前(一部を)読みました。
1996年というウェブの黎明期とも呼べるような時代から連載が開始されていて、初めて読んだときは、こんな小説があるのかと衝撃を受けた記憶があります。既に完結していますが、今でもウェブ上で公開されているので、読んだことが無い人は、一人分の物語だけでも読んでみてもらえればと思います。
「99人の最終電車」のような形式の作品に興味を持つきっかけになったのは別の作品(ゲーム?)なのですが...まだ公開されているのかどうか。もし見つけたら紹介したいと思います。
WebGLとかARとかがもっと広まれば、体験型推理小説みたいなものも出てくるような気がしますが...小説というよりゲームに分類されてしまうんだろうか。

2013/01/03(Thu) 20:29:48

 魔王 / magicien 

魔王 (講談社文庫) 伊坂幸太郎さんの「魔王」。最近本の話ばかりですが、せっかく読んだので。

読んだタイミングが良かったのか、悪かったのか、超能力と政治と選挙の話。
「魔王」「呼吸」の二部構成になっていて、それぞれ2004年12月、2005年7月に書かれたもの。なのですが、巻末の解説にも書いてある通り、未来の出来事を予言するかのような内容でした。

続編にあたる「モダンタイムス」という作品も出ているようなので、今度読んでみようかと思います。
タイトルの「魔王」は、シューベルトの曲から。作中の登場人物は曲の印象を「恐ろしい」と語っていたけれど、私が小学校だか中学校だかの音楽の授業で聞いたときは、みんなで爆笑した記憶が...日本語版を聞いたのがいけなかったのかもしれない。そのとき音楽の先生がどんな顔をしていたのかはよく覚えていない。まぁ、「パンをふんだ娘」を見て笑い転げていたような子だったので、感性が多少アレだったのかも。歌で恐怖を表現するっていうのは難しいものです。
それにしても、伊坂さんの作品は当たり前のように登場人物たちが死んでいくので、読むときは身構えてしまいます。

そういえば、Amazonでこの本を検索したときに、ISBNコードが無い「魔王」が検索にヒットして、バグかと思ったらKindle版でした。電子書籍ってISBNコードはどうなるんだろう。

2012/12/10(Mon) 01:21:35

 冷たい校舎の時は止まる / magicien 

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫) 辻村深月さんのデビュー作。上下巻を一気に読んだ。

11月の記事が抜けてしまうなぁと思い、10月に読んだ本の感想でも書いてみる。
本屋で辻村さんの本が大量に平積みされていたので、とりあえずデビュー作から読んでみようということで、買ってみました。
買ってから気づいたけど、上下巻合わせると結構分厚い。
ノリオがときどき京極夏彦さんの本の感想を書いているので、どれどれと思って京極さんのコーナーに行くと、その本棚だけ異様な雰囲気を醸し出していますが、辻村さんの本も本棚に横に並べれば同じような空気になりそう。

内容は、ある朝登校した8人の高校生が時間の止まった校舎に閉じ込められて...という話で、ミステリーというよりホラーに近いかもしれません。
8人がそれぞれ抱えている悩みが話のメインになっていて、しかもその悩みが割とリアルだったりして、読んでいて古傷が痛んだりするわけで、死人が蘇るより、過去のトラウマが蘇る方がよほど恐ろしかったりするわけです。

ところで、この本では辻村深月という人物が出てくるけど、作者とこの人物は同じような性格ということなんだろうか。
2012/11/30(Fri) 23:00:00

 すべてがFになる / magicien 

すベてがFになる (講談社文庫) 森博嗣さんの作家としてのデビュー作であり、私が夏休みに読むはずだった1冊。本文を書きすぎてセッションが切れて、内容全部ふっとんだけど泣きながらもう一回書く。

冒頭で登場人物の紹介があり、プログラマが何人かいたので、おぉっ?と思って興味が湧いたと同時に、タイトルの意味について何となく察しがついた。
それにしても、作品の最初にオブジェクト指向の本を引用するのも驚いたし、「それでは、なぜ人間は交換をするのであろう」という文から始まり人間の脳の構造から説明をしているオブジェクト指向の本があるのにも驚いた。

私の勝手なイメージでは、森さんは機械工学には精通しているけど、ソフトウェア工学はあんまり、という感じだと思っていましたが、よくよく調べるとBASICやCの本も書いていたんですね。
小説を書く場合、テーマを決めてから、そのテーマについて詳しく調べていき、話の中身を考えるという作り方が一般的なのではないかと思う(ビブリア古書堂の古書なんかはそうだと思う)のだけど、森さんの場合は、既に持っている知識の中からテーマを選び、そこにミステリーの肉付けをしているような気がする。というより、書きたいことを書いて本にするためにミステリィの体裁をとっている、という印象。

それはさておき、本の感想に戻ると、プログラムやOSに関する話が随所に出て来て、わくわくしながら読めました。使っているエディタがemacsなのかviなのかは気になるところ。1995年に書かれた本ということで、内容は少し古いですが、それはそれで楽しめると思います。あるいは、書かれた年代が謎解きのヒントになるかもしれません。
それと、途中で部屋の中の工具を列挙していく場面があり、その気合いの入りっぷり、活き活きした感じはやはりというかさすがというか、先生、素が出てますよ!という感じで見所です。愛犬のトーマくんもちょろっと出演している模様。
このシリーズを読んだのはこれが初めてですが、作品の一番最後に登場した人物がシリーズ後半でのモリアーティ教授的存在になるのかなぁと思ったり。

2012/10/08(Mon) 17:09:03

 ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち / magicien 

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫) 夏休み中、読もうと思って買った10冊の小説のうち、読み終わったのは2冊だけ... この本はそのうちの1冊。

売れに売れている本を紹介するのもあまり意味が無い気がしますが、自分の読書記録を兼ねて。
タイトルから分かるとおり、古書店を舞台にしたミステリー。
ミステリーといえば探偵役が必要なわけで、この作品では、表紙にもなっている栞子さんが探偵役、主人公でニートの危機にさらされている五浦大輔がワトソン役となっています。
実在する本が各話のタイトルになっているのが特徴で、それらの本をテーマにした事件やら何やらがあり、栞子さんが本の知識とミス・マープル顔負けの洞察力で解決していく、という話。

読んで思ったのは、シリーズ向けのうまい設定だなぁというのと、話の展開が割と早い段階で読めてしまう、ということ。
それだけの材料を読者に与えるフェアなミステリーとも言えますし、重要なのは個々の話ではなく、シリーズを通して各話の裏を流れる本流ということかもしれません。
また、注目すべきは栞子さんの本に対する膨大な知識で、つまりは著者の三上さんの知識なわけで、その深さと広さには、もう参りましたという感じです。1巻の話の一つがヴィノグラードフ・クジミン「論理学入門」だったり、2巻では漫画が出てきたり、守備範囲どれだけ広いんですか。小説家が実在の小説を題材にするのは、かなりのプレッシャーがあったんじゃないかと上から目線で勝手に想像していますが、そんなプレッシャーを感じさせない、小説として純粋に楽しめる作品じゃないかと思います。

ちなみに、今2巻まで読み終わったところですが、どちらも大好物な「余韻の残るハッピーエンド」でした。
2012/09/30(Sun) 21:35:11

 OpenGL ES 2.0 プログラミングガイド / magicien 

Open GL ES 2.0 プログラミングガイド ふと思い出してこの本を開いてみたところ、WebGLでのClipPlaneの実現方法が載っていた。

ES 1.1にはあったけど、2.0で無くなった機能をどう実装するか、という話が一通り載っていて、シェーダのプログラムもコピペしてそのまま使えるレベル。
そのうちの一つが、ユーザ定義クリップ面の話。

クリップ面の式を
Ax + By + Cz + D = 0
としたとき、
v_clipPlane = (A, B, C, D)
として次のシェーダを書けばOK。
( (A, B, C)はクリップ面に対する法線、Dは原点(0, 0)とクリップ面との距離になる。
 例えば、Y=0平面をクリップ面としたいなら、v_clipPlane=(0,1,0,0))

頂点シェーダ:
uniform vec4 v_clipPlane;
uniform mat4 matViewProjection;
attribute vec4 rm_Vertex;

varying float v_clipDist;

void main(void)
{
  v_clipDist = dot(rm_Vertex.xyz, u_clipPlane.xyz) + u_clipPlane.w;
  gl_Position = matViewProjection * rm_Vertex;
}

フラグメントシェーダ:
precision mediump float;
varying float v_clipDist;

void main(void)
{
  if(v_clipDist < 0.0)
    discard;

  gl_FragColor = vec4(0.5, 0.5, 1.0, 0.0);
}

頂点(rm_Vertex)毎にクリップ面との距離(v_clipDist)を計算しておく。
v_clipDist が 0 より小さい点はクリップ面の裏側にあることになるため、描画しない(discard)。
もっと難しい計算が必要だと思ったけど、恐ろしく簡単に実装できた。

2012/05/19(Sat) 22:44:29

 夜は短し歩けよ乙女 / magicien 

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫) コーディングの時間がないと嘆きつつ読みました。

最近は技術書ばかり買っていて、文庫本を買う機会は滅多にないです。
実はこの本も、自分で買ったのではなく、友人からもらいました。
飲み会の席で、「読む?」といって渡されたのですが、
前々から読みたいと思っていた本なので、嬉々として受け取りました。

それはさておき、内容としてはノスタルジックでファンタジックでした。
解説で羽海野チカさんも書いていたとおり、読んでいくうちに次々とイメージが頭に浮かんできて、
これ、映像化されてるのかな、と思い調べてみたところ、マンガ化や舞台化がされているらしい。

タイトルから察するに、「夜のピクニック」的な話なのかと思いましたが、
ある晩の出来事は4章のうちの最初の1章。あとはその続きという形でした。
最初の数ページを読んだときは、語り口がくどくて読みづらい印象がありましたが、
読み進めていくうちに気にならなくなりました。
というか、くどいのは最初だけで、「おともだちパンチ」のくだりが終わる頃から、
くどさが消えて、どっぷりとはまってしまいました。

いろいろと書きたいことはありますが、まだ読んでいない人のために、とりあえずこのへんで。

2010/12/19(Sun) 11:22:17

 鉄鼠の檻 / ノリオ 

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫) 京極堂シリーズ第4作。読み終えたので感想やら何やら。
箱根の山奥にある謎の寺で、坊主が次々と殺されるという話。前回の記事では書かなかったけれど、このシリーズの舞台は、戦後10年ほどたった昭和中期です。
仕事の用事で箱根に来た、本屋の主人で神主、憑き物落としを行う京極堂と、語り手であり友人の小説家関口がまたも事件に巻き込まれていく展開。

禅宗がテーマとなっており、宗教色が一層強くなっているのが今作の特徴。禅宗の歴史とか難しい用語とかたくさん飛び交うので、そういうのが苦手な人は読むのが辛いかもしれない。

このシリーズを読んで感心するのは、仏教などの知識がものすごいところもあるけれど、それ以上に非現実的なものに対する表現力だと思う。語り手の関口の病み具合も手伝って、得体の知れないモノ、異空間が上手く演出されている。

このシリーズの第一作『姑獲鳥の夏』と第二作『魍魎の匣』は映画化されていて、魍魎の匣はアニメ化までされています。姑獲鳥の夏が映画化される際にニュースであらすじを見て、面白そうだなーと思って読み始めたのが始まり(結局映画は見ていない)。
アニメ化されたときに1話を見てみたけれど、あの非現実感を再現しようと腐心しているかんじは伝わったが、なんだか陳腐になってしまっていると感じた。文字でしか表現できない世界があることを知りました。

映画の方は、京極堂を堤真一が演じているというので気になるけれど、原作でのあの台詞の長回しを映像化するのは無理があると思う。あと、榎木津のキャストが阿部寛なのは納得だが、鬼の木場修がまさかの宮迫だからなぁ。。。
2010/08/21(Sat) 02:40:10