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 冷たい密室と博士たち / magicien 

冷たい密室と博士たち (講談社文庫) 今年23冊目。森博嗣さんの「冷たい密室と博士たち」を読んだ。

すべてがFになる」の続編、S&Mシリーズの2作目。
インパクト重視で、本来4作目の予定だった「すべてがFになる」を1作目とした、というエピソードを知っていたため、今回の作品はインパクトが少ないのだろう、と思っていたら全くそんなことはありませんでした。
犯行のトリックや手口、犯人は読み進めるほどに分からなくなり、お手上げ状態で解決編まで読んでしまいました。クライマックスでtelnet、who、talkというコマンドを実行する場面があったりして、あぁこれは理系のための小説だなぁと改めて思いました。
あとがきの解説を見るに、当時は「この作者は人間を描いていない」という評価もあったようなのですが、自分が理系だからなのか、フィクションやファンタジーに慣れすぎてしまったのか、登場人物たちの心情や挙動に全く違和感を覚えませんでした。
S&Mシリーズは全部で10冊のようなので、年間目標達成のためにシリーズをまとめて読むのもありかなぁと思っています。

追記:作中にカルピスをコーラで割ったキューピットという飲み物が出てきます。さっき試しにコーラとカルピスウォーターを1:1で混ぜて飲んでみましたが、すごく薬品っぽい味になりました。が、意外といけました。
カクレカラクリというコーラだらけの作品もありましたが、森さんはコーラ好きなんでしょうか。

2013/09/29(Sun) 23:20:21

 ドグラ・マグラ / magicien 

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫) 今年22冊目。夢野久作さんの「ドグラ・マグラ」を読んだ。

今年50冊の読書目標のうち、課題図書として予め考えていた一冊です。
以前、青空文庫で読んでみようとしたものの、「キチガイ地獄外道祭文」に入ったところで完膚なきまでに心をへし折られて読むのを諦めた経緯があり、今回は本を買って一気に読むという作戦で無事に最後までたどり着くことができました。
私が買った本は上下巻に分かれており、上巻の脈絡の無さと読み辛さは三大奇書と呼ぶにふさわしいものでしたが、下巻に入ってみると、上巻の各章にもそれぞれ意味があり辻褄が合うものだということが分かってきます。そういう意味で、ドグラ・マグラが探偵小説に分類されているのだと無理矢理納得することにしました。
物語ははっきりとした結論が出ないまま終わってしまい、誰を信じるかによって、いろいろな解釈が出来る作品ですが、個人的には主人公の解釈がほぼ正しいものであり、最終的にはハッピーエンドを迎えることになる、といいなぁと思っています。
主人公の記憶と精神が不確かな状態で、何が真実かを探っていくという点では、FFXにも通じるところがあるかと一瞬考えましたが、おそらく気のせいでしょう。
無意識や夢の描写を見るにフロイトに影響を受けていそうな印象でした。私自身がフロイトをよく知らないので、なんともですが...
2013/09/29(Sun) 22:49:51

 四畳半王国見聞録 / magicien 

四畳半王国見聞録 (新潮文庫) 今年21冊目。森見登美彦さんの「四畳半王国見聞録」を読んだ。
絶賛森見祭開催中です。タイトルから分かる通り、四畳半神話大系とつながりのある作品で、樋口師匠が活躍したりしなかったり。有頂天家族にも出て来た淀川教授も登場したり。どうしようもないほどリアルで残念な大学生活を描写すると見せかけて、とんでもないファンタジーだったりと、森見ファンの方なら安心して読んで頂けるかと思います。

登場人物たちがことごとく量子力学を目の敵にしていますが、必須科目なのでしょうか。
樋口師匠に比肩する能力者たちが活躍する「大日本凡人會」がおすすめ。

2013/09/02(Mon) 02:47:23

 宵山万華鏡 / magicien 

宵山万華鏡 (集英社文庫) 今年20冊目。森見登美彦さんの「宵山万華鏡」を読んだ。

これも森見さんファンの一人である友人に夏に読むなら、ということで薦められた本。 祇園祭の宵山を舞台にした短編集。6つの短編からなっており、それぞれ主人公は別々ですが、登場人物同士が出会ったり、すれちがったりして物語に絡んできます。
同一人物のようでいて、別の人物のような人たちが出て来たり、コメディだったりホラーだったりファンタジーだったり。万華鏡という名前がぴったりの作品だと思います。ナミヤ雑貨店の奇蹟でも同じようなことを書きましたが、同じ時間、同じ場所での出来事を複数の視点から描写することで、真実が明らかになっていくようなパターンは個人的に大好物です。ただし、今回は読めば読むほど深みにはまっていきそうです。

2013/09/02(Mon) 01:59:04

 新釈 走れメロス 他四篇 / magicien 

新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1) 今年19冊目。森見登美彦さんの「新釈 走れメロス 他四篇」を読んだ。

森見さんファンの一人である友人に薦められて読んでみました。
タイトルにある「走れメロス」のほか、「山月記」「薮の中」「桜の森の満開の下」「百物語」について、ストーリーの骨子はそのまま、舞台を現代の京都に作り替えた短編集。おそらく原作を知らなくても十分楽しめますが、作品の趣旨からしても原作を先に読んでおいた方が良さそう。
原作の面白みを残しつつも、うだつが上がらない大学生たちが森見ワールドを作り上げています。 巻頭に「走れメロス逃走図」なるものが付いていて、走れメロス編の主人公芽野史郎が京都の街をどのように駆け回ったが分かるようになっています。メロスって逃げる話だったっけ...
四畳半神話大系ともリンクがありそう。発行順に読むのであれば、四畳半神話大系→新釈走れメロス→四畳半王国見聞録という順番になるので、未読の方は、四畳半神話大系から読むとより楽しめるかもしれません。

2013/09/02(Mon) 00:18:56

 有頂天家族 / magicien 

有頂天家族 (幻冬舎文庫) 今年18冊目。森見登美彦さんの「有頂天家族」を読んだ。

森見さんの作品のアニメが放送されているようだ、という噂を巷で聞きつけ、本を読む前に何かの拍子にネタばれされては困ると思い、急いで読みました。
内容は、京都の狸、天狗、人間を巡るドタバタ劇。主人公は狸の名門下鴨家の三男である矢三郎。人間離れした人間と、人間より人間くさい天狗、とにかく阿呆な狸にファンタジーが加わり、本作でも見事な森見ワールドが広がっています。
夜は短し歩けよ乙女、四畳半神話大系も京都を舞台にしているため、下鴨神社や偽電気ブラン等、見覚えのある地名やら何やらがちらほら。聞いたところによると、夜は短し〜で黒髪の乙女と偽電気ブランの飲み比べをした李白さんが出ているとかいないとか。一度読んだ本をもう一度読み返してみたくなるのが、森見さんの本の恐ろしいところです。

2013/08/22(Thu) 22:40:09

 D坂の殺人事件 / magicien 

D坂の殺人事件 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) 今年17冊目。江戸川乱歩さんの「D坂の殺人事件」を読んだ。

ビブリア古書堂の事件手帖4で江戸川乱歩がテーマとなっていましたが、江戸川乱歩の作品をきちんと読んだことが無かったので、読んでみました。
短編10編からなる短編集です。このうち、明智小五郎が出てくるのは本のタイトルにもなっている「D坂の殺人事件」のみ。ただ、他の短編も面白く、巻末の作者本人による書評も興味深いです。本人曰く悪評を受けた、という「石榴」と好評だったという「赤い部屋」が個人的にはおすすめです。ちなみに、作中でさらっと海外の推理小説のネタばれをしているので要注意。
2013/08/22(Thu) 22:35:24

 浜村渚の計算ノート 4さつめ 方程式は歌声に乗って / magicien 

浜村渚の計算ノート 4さつめ 方程式は歌声に乗って (講談社文庫) 今年16冊目。浜村渚シリーズの5冊目「浜村渚の計算ノート 4さつめ 方程式は歌声に乗って」を読んだ。

実は読んだのがひと月以上前なのですが…とりあえず記憶に残っていることを書き並べておきます。
今回のテーマは確率、展開図、級数、そして音楽。 音楽をテーマにした章は、節番号が440.00、493.883、...となっていて相変わらずの凝りようでした。 音律、リズム、コード進行等々、音楽の中に数学的要素が多いので、他の教科より話は作りやすそうと思いきや、作中の問題と音楽とはあまり関係なかったり。そして、最後は気になる展開で幕引き。
log1000章とlog10000章の間にπ章があるのは、以前某大学の入試問題でも話題になった、小学校で円周率を「3」として計算するか否かという話に対する皮肉でしょうか。

とにもかくにも、最新刊まで追い付いてしまいました。そろそろ後回しにしていた私的課題図書に取りかからねばと思いつつ、つい本屋を徘徊して他の本に手を出してしまいます。
2013/08/22(Thu) 22:30:00

 浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理 / magicien 

浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理 (講談社文庫) 今年15冊目。浜村渚シリーズの4冊目「浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理」を読んだ。

これまでの3冊はいくつかの短編から成っていましたが、今回は1冊まるまる、ある島を舞台にした長編になっています。やはり、ミステリー、長編、となると舞台が島になるのが王道なのでしょう。登場人物たちの呼び名には、有名な数学者の名前が割り当てられており、十角館の殺人を彷彿とさせます。
今回も紙と鉛筆は必須でしょう。巻頭にある見取り図も話を理解するのに役立つはずです。本編は3章に分かれていて、前の2章が出題編、最後の1章が解答編となっています。それを考えると、章番号の付け方もなかなか粋ではないかと思います。
私は残念ながら正解まで一歩及びませんでした。苦し紛れにヒントを書いておくと、作中にあるものがたくさん出てきます。なぜ、それが複数、しかもたくさん出てくるのか、その意義を考えると最後の正解までたどり着けるのではないかと思います。
ところで、作中に数学と麻雀を掛け合わせた、数学雀(マスジャン)なるものが出てきます。プログラマーとしては、ぜひこのゲームを再現したいところですが、役の判別とAIの実装がかなり難しそう。素因数分解のテーブルをあらかじめ用意して計算量を減らせば...と考えたり。でも分数計算がありだと厳しい。気力があれば挑戦してみたいと思います。
2013/06/17(Mon) 02:58:42

 浜村渚の計算ノート 3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学 / magicien 

浜村渚の計算ノート 3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学 (講談社文庫) 今年14冊目。浜村渚シリーズの3冊目「浜村渚の計算ノート 3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学」を読んだ。

今作も紙と鉛筆を用意して読んだ方が良さそうです。それと、タイトルにもあるとおり、コンパスも用意しておいた方が良いかも。
log10.『クレタ島・嘘つき迷宮』では、那田(なた)中学、凱政(がいせい)高校の入試問題が出題されているので、腕に自信がある方は挑戦してみては。おそらく、実在の中学、高校ではないと思いますが、似たような名前の中学、高校があったような...
数学は得意科目のはずでしたが、幾何は苦手だったので、log1000.『「プラトン立体城」殺人事件』には苦しめられました。
作者が読者に挑戦するような作風は相変わらず。一部の問題に至っては解答を提示せず、興味があるなら調べてごらん、と言わんばかり。もちろん、メインとなる問題については、答えにたどり着くための材料は全て提示した上で、最後に丁寧な解説付きで答えを示す、ミステリーとしても、パズルとしても、数学の入門書としても通用するような作品だと思います。

2013/06/17(Mon) 02:18:17