GPL解説vol.4―フリーソフトウェアとコピーレフトその2― / マルパチ 

前回「GPL(=General Public License)ライセンスソフトウェアを使うと何ができて何ができないのか」の続きです。
「改変されたフリーソフトウェア」の再配布の条件について説明したいと思います。

「改変されたフリーソフトウェア」は6つの条件を守れば、ソースコード形式でのみ再配布できます。再配布は必ずソースコード形式で行わなければなりません。オブジェクトコード形式での再配布の際はさらに条件が付け加えられるので注意してください。

6つの条件とは①適切な著作権告知を全てのコピーに目立つように発行すること、②GPLのコピーを全ての受取人に提供すること、③改変したという事実及び改変の日付をはっきりと告知すること、④GPLが適用される旨・GPLv3第7条に基づく全ての条項が適用される旨をはっきりと告知すること、⑤改変されたソフトウェアの全体に丸ごとGPLを適用させること、⑥あなたの改変によりソフトウェアインタラクティブユーザーインターフェイスを追加された場合は適切な法的告知を表示すること。→GPLv第5条1パラグラフ
①「適切な著作権告知(appropriate copyright notice)」は前回説明したとおり。フリーソフトウェアの元々の著作権告知を変更するなという意味です。
④の条件は前回説明した②の条件に似ていますが違うものです。どこが違うかというとGPLv3第7条に基づく「全ての」条件を告知しなければならない点が違います。非許可条項の告知だけで良しとされた「フリーソフトウェアの完全なコピー」とは大違いです。
⑤は6つの条件の中で一番大事な条件と言っても過言ではありません。この条件によりGPLはAからA'へ、A'からA''へと伝播していくのです。(ライセンス感染とか皮肉られる原因でもあったり…)
⑥の「適切な法的告知(Appropriate Legal Notices)」ってなんやねん、という問題があります。これについてはGPL自身が「適切な法的告知」の定義づけをしてくれています(GPLv3第0条8パラグラフ)。GPLによると「適切な法的告知」とは、まず適切な著作権告知(apprpriate copyright notice)の表示があること、そして利用者に対して3点につき伝えること(無保証である場合には無保証であること、受領者がGPLに基づきプログラムの再配布が出来ること、GPLのコピーを参照する方法)なのだそうです。適切な著作権告知って①の条件とほぼ同じですね。ファイルとディスプレイで2重に著作権告知をしろということです。

さて前回から2回にわたって長々と解説してきましたがいかがでしたでしょうか?
タイトルにも書いたコピーレフトについてはついにここまで触れずじまいでした(笑)

コピーレフトとは、本来なら非著作権者による著作物の利用を制限するために用いる著作権法を、逆に非著作権者による著作物の自由な利用・再配布・改変のために用いてしまおうという逆転の発想です。つまり最初の著作権者が、自分の著作権を盾にして、全ての再配布者に対してフリーソフトウェア化を要求してしまうのです。
この発想はプログラマーの方にとっては既に当たり前の考え方なのかもしれませんが、僕みたいに法律の考え方に馴染んだ人間にはやっぱり違和感があります。著作権法などの私法ってのは普通、自分の利益のために使うものであって、他人の利益や公共の利益のために使うものではありませんからね…。

次回は「古いバージョンのGPL」について説明しようかと思いましたがこれは後回しにして、ここらでちょっと「BSDライセンス」について書くことにします。
それでは!
2010/01/15(Fri) 23:18:29