GPL解説vol.3―フリーソフトウェアとコピーレフト― / マルパチ 

どうもマルパチです。
前回前々回の記事が長くなりすぎたので今回はあっさりいきたいと思います。題して「GPL(=General Public License)ライセンスソフトウェアを使うと何ができて何ができないのか。」

GPLライセンスのソフトウェアはフリーソフトウェアです。
ここで気をつけなければならないのはフリーソフトウェアはフリーソフトではないということ。言葉は似ていますが両者の間には大きな違いがあります。
フリーソフトは「タダで」使用することができるソフトウェアのことです。使用が認められているに過ぎないので、フリーソフトの著作権者は必ずしもソースコードを開示しません。使用する分にはソースコードは不要だからです。
一方フリーソフトウェアは「自由に」使用・研究・改変ができるソフトウェアを意味します。自由な研究、自由な改変のためにはソースコードが必要不可欠ですよね。ですからフリーソフトウェアはソースコードが開示されます。

さらに「フリーソフトウェアの完全なコピー」及び「改変されたフリーソフトウェア」は自由に再配布することができます。ただし再配布する場合はGPLの要求する条件に従わなければならないので注意が必要です。
その条件を以下に説明します。

「フリーソフトウェアの完全なコピー」は4つの条件を守れば、ソースコード形式で再配布できます。ソースコードをコンパイルしたものはそもそも「フリーソフトウェアの完全なコピー」ではないので4条件を守っただけでは再配布できません(GPLv3第4条1パラグラフ)。注意してください。

4つの条件とは①適切な著作権告知を全てのコピーに目立つように発行すること、②GPLが適用される旨・GPLv3第7条に基づく非許可条項が適用される旨の全ての告知を完全に保持すること、③無保証である旨の全ての告知を完全に保持すること、④GPLのコピーを全ての受取人に提供すること。→GPLv3第4条1パラグラフ
①の「適切な著作権告知(appropriate copyright notice)」というのがわかりにくいと思います。これはつまりフリーソフトウェアの元々の著作権告知をそのままにしておけ、変更するなという意味です。第1回で説明したようにソースコードの著作権者は作成者です。作成者の手による著作権告知を勝手に変えてしまうのはダメだということですね。
②の「GPLv3第7条に基づく非許可条項」というのは著作権者が付け加えたGPLの要求する条件をさらに厳しくする追加条件のことです。逆に言えば著作権者が付け加えたGPLの要求する条件を緩和する追加条件はあなたの判断で削除することができるのです。
③の「保証がない旨の全ての告知」とはソースコードにコメントされている"WITHOUT ANY WARRANTY"または"ABSOLUTELY NO WARRANTY"の記載のことですね。GPLの作成者であるGNUプロジェクトはソースコードにこの文句をコメントすることを推奨しています。もちろんあなたが勝手に削除することなど出来ません。→参考リンク
気づいた方もおられるかと思いますが、これらの条件の中には「再配布は無償でなければならない」とは書かれていません。それどころかGPLは再配布を有償で行ってもよいとはっきり書いています(GPLv3第4条2パラグラフ)。早い話がお金を取っても良いということです。GPLソフトウェアがフリーソフトではなく「フリーソフトウェア」であるという所以です。

さて次は「改変されたフリーソフトウェア」を再配布する条件について説明したいところですが…
あっさりいくとか言ったのに全然あっさりしてないじゃないか!!
自分の見立ての甘さにがっかりしました。てなわけで次回に続く!


ちょっと補足です。
ここで問題になるのがあなたが受け取ったGPLソフトウェアが最初からコンパイルされたオブジェクトコードを含んでいた場合です。オブジェクトコードを再配布したい場合には別途GPLv3第6条の条件が課されるのですが…。
オブジェクトコードとGPLの関係についてはまた別に記事を書きたいと思います。

2010/01/12(Tue) 14:54:49