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しぐれういさんの個展に行った / magicien
気づいたら3年半以上更新するのを忘れていた。仕事ばかりしていると、書けることが無くなってしまっていけない。先日、しぐれういさんの個展に行ったので、その日のことを書き残しておこうと思う。これは備忘とリハビリとサイトの動作確認のために、だらだらと書き連ねた自分のための文章なので、読む価値はあまり無い。しぐれういさんは、言わずと知れたイラストレーター、そしてvtuberでもある。なぜか歌も歌っており、ある動画はYouTube上で1億再生を超えている。こうなると、もはや何者なのか分からなくなってくるが、本業はやはりイラストレーターであるということで、個展を開くという。
個展は六本木で開かれていた。週末、近くへ外出の予定があったため、ついでに寄ってみようと思い、昼に六本木の駅を降りた。9月の半ばになっても夏が我が物顔で居座っており、ヒルズに着く頃には汗が吹き出していた。遠目に長い行列が見えて嫌な予感がしていたのだが、近づいてみると案の定、個展の入場列ができている。このまま列に並ぶと、汗で全身びしょびしょの妖怪が個展会場に現れてしまう。入場までどれくらいかかるかもわからない。仕方ないので、個展は断念して本来の用事を先に済ませることにした。
平日に再挑戦しようとも考えたのだが、六本木はもしかして平日の方が人が多いかも知れないというのと、前職の関係者にばったり出くわしたらなんか嫌だなという思いがよぎり、夕方に再度個展会場に行ってみることにした。すると、入場列はなくなり代わりに整理券を配るスタッフが立っていた。薄暗くなった会場周辺では、個展の入り口を背景に写真撮影をしている人たちが多くいて、昼間とはまた違った雰囲気になっている。整理券を受け取り、数十分ほど森美術館の売店を冷やかした後、もう一度会場に行くと、すんなりと入場できた。
会場はシンメトリー、というか円形になっていて、半分がイラストレーター、もう半分がvtuberをテーマにした絵が並んでいる。個展というものにあまり行ったことがなかったため、それぞれの絵に値札が付いているのを見て、そういえば絵って買えるのかと、ふと思う。入り口に飾られている立体造形は 5,550,000 円となっていて、ほぼ原価だという。自分が個展を開いたらきっと破産してしまうだろう。
物販の列が出来ていることを除けば、会場内は思ったより混雑していなかったが、そこまで広々としたスペースがあるわけでもなく、自然、絵を至近距離から眺めることになる。考えてみると、パソコンで絵を観るときはもっと近いんだったと思いつつ、ディスプレイよりも大きなサイズのデジタル絵をどうやって描いたのだろうと思案する。会場内は暗めで、見上げると青や黄色のライトが絵に光を投げかけている。仕掛けのある絵が多く、光がオーロラのように反射したり、上層の絵が下層に影を作ったりと、リアルだからこその展示ばかりで、そういえば、しぐれういさんは美大出身であることを思い出した(高校生のはずだけど)。
この個展は、vtuberデビュー5周年企画の一部でもあり、同じく5周年企画で発売されたCDのジャケット絵も飾られていた。このCD自体にも数多くの著名なアーティストが関わっていて、CDを買ったときは、随分とどでかいことをしたな、とびっくりしたものだ。しかし、個展に並ぶ絵の一つとしてCDジャケット絵があるのを見ると、どでかく感じたCDは世界の一部で、外側にさらに大きな世界が広がっていることを思い知らされて呆然とした。
vtuberサイドには、様々なvtuberの絵が並んでいた。中でも目を惹いたのは、にじさんじのリゼ・ヘルエスタさんを描いたもの。背景が一部透明になっている絵に複数のライトが当たっていて、後ろの壁に映る髪の影に濃淡が生まれており、それがとても有機的で魅力的だった。個展のタイトルが「雨を手繰る」なのだが、リゼさんが雨女として知られており、その偶然の関係性にも感じるところがあった。
二重円のような構造の会場の中心部には、取り囲むようにディスプレイが並んでいて、Live2Dや3Dのしぐれういさんが時折、歩いたり座ったりする姿を見せる。上には大きな傘がかかっていて、雨が傘を叩く音が聞こえてくる。天井の青いライトは、この傘に空と雲を投影するためのものだったようだ。学校のチャイムと雨音をモチーフにしたようなピアノがBGMとして流れており、チルい。空調のおかげで温度的にもチルい。おかげで会場をぐるぐると何周もして、数々の絵と快適な空調に別れを告げられずにいた。
ゾーンはリアルのイラストレーターとバーチャルのvtuberとで分かれていたものの、何周もしているうちにその境目が曖昧に感じるようになった。影が光から生み出されるように、フィクションもリアルから生み出されたものであり、その境界は綺麗に切り分けられるものではなく、滲んで混ざる。どんなに否定しようと親子がその関係を取り消せないように、リアルとフィクションの関係は切り離せないのだ(JJ...)。CDのfictionというタイトルからそんなことを考えつつ、ゾンビのように会場を徘徊していた(疲れていたのかもしれない)。断腸の思いでようやく会場を出ると、外はすっかり暗くなっており、まだ蒸し暑い空気の向こうから微かに聞こえる虫の音は、秋の到来を予感させるものだった。
リアルで創作物に触れる機会は久しぶりで、密度の高い作品に触れると創作意欲がかきたてられる。とはいえ、絵を描くのは苦手なので、自分はコードを書いて欲を満たす他ない。最近はUnityに触れる機会が増えたので、Unityで何か作ってみたいとぼんやりと考えている。
せっかくなので、3周年記念の時に作ったファンアート的ウェブページも置いておこう。今見返してみても、我ながら頑張って作ったと思う。この時も同じように創作意欲に掻き立てられてものづくりに没頭していたのを覚えている。外からの刺激が自分へどれほど大きな影響を与えるかを今回改めて思い出すことができた。
https://magicien.github.io/CanvasInShower/