すべてがFになる / magicien 

すベてがFになる (講談社文庫) 森博嗣さんの作家としてのデビュー作であり、私が夏休みに読むはずだった1冊。本文を書きすぎてセッションが切れて、内容全部ふっとんだけど泣きながらもう一回書く。

冒頭で登場人物の紹介があり、プログラマが何人かいたので、おぉっ?と思って興味が湧いたと同時に、タイトルの意味について何となく察しがついた。
それにしても、作品の最初にオブジェクト指向の本を引用するのも驚いたし、「それでは、なぜ人間は交換をするのであろう」という文から始まり人間の脳の構造から説明をしているオブジェクト指向の本があるのにも驚いた。

私の勝手なイメージでは、森さんは機械工学には精通しているけど、ソフトウェア工学はあんまり、という感じだと思っていましたが、よくよく調べるとBASICやCの本も書いていたんですね。
小説を書く場合、テーマを決めてから、そのテーマについて詳しく調べていき、話の中身を考えるという作り方が一般的なのではないかと思う(ビブリア古書堂の古書なんかはそうだと思う)のだけど、森さんの場合は、既に持っている知識の中からテーマを選び、そこにミステリーの肉付けをしているような気がする。というより、書きたいことを書いて本にするためにミステリィの体裁をとっている、という印象。

それはさておき、本の感想に戻ると、プログラムやOSに関する話が随所に出て来て、わくわくしながら読めました。使っているエディタがemacsなのかviなのかは気になるところ。1995年に書かれた本ということで、内容は少し古いですが、それはそれで楽しめると思います。あるいは、書かれた年代が謎解きのヒントになるかもしれません。
それと、途中で部屋の中の工具を列挙していく場面があり、その気合いの入りっぷり、活き活きした感じはやはりというかさすがというか、先生、素が出てますよ!という感じで見所です。愛犬のトーマくんもちょろっと出演している模様。
このシリーズを読んだのはこれが初めてですが、作品の一番最後に登場した人物がシリーズ後半でのモリアーティ教授的存在になるのかなぁと思ったり。

2012/10/08(Mon) 17:09:03