ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち / magicien 

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫) 夏休み中、読もうと思って買った10冊の小説のうち、読み終わったのは2冊だけ... この本はそのうちの1冊。

売れに売れている本を紹介するのもあまり意味が無い気がしますが、自分の読書記録を兼ねて。
タイトルから分かるとおり、古書店を舞台にしたミステリー。
ミステリーといえば探偵役が必要なわけで、この作品では、表紙にもなっている栞子さんが探偵役、主人公でニートの危機にさらされている五浦大輔がワトソン役となっています。
実在する本が各話のタイトルになっているのが特徴で、それらの本をテーマにした事件やら何やらがあり、栞子さんが本の知識とミス・マープル顔負けの洞察力で解決していく、という話。

読んで思ったのは、シリーズ向けのうまい設定だなぁというのと、話の展開が割と早い段階で読めてしまう、ということ。
それだけの材料を読者に与えるフェアなミステリーとも言えますし、重要なのは個々の話ではなく、シリーズを通して各話の裏を流れる本流ということかもしれません。
また、注目すべきは栞子さんの本に対する膨大な知識で、つまりは著者の三上さんの知識なわけで、その深さと広さには、もう参りましたという感じです。1巻の話の一つがヴィノグラードフ・クジミン「論理学入門」だったり、2巻では漫画が出てきたり、守備範囲どれだけ広いんですか。小説家が実在の小説を題材にするのは、かなりのプレッシャーがあったんじゃないかと上から目線で勝手に想像していますが、そんなプレッシャーを感じさせない、小説として純粋に楽しめる作品じゃないかと思います。

ちなみに、今2巻まで読み終わったところですが、どちらも大好物な「余韻の残るハッピーエンド」でした。
2012/09/30(Sun) 21:35:11