GPL解説vol.5―GPLの古いバージョン― / マルパチ 

GPL(=General Public License)にはいくつかのバージョンがあります。最新のものは2007年6月29日にリリースされたバージョン3です。これまで本ブログで行ってきたGPLの解説もバージョン3を土台にしています。
ところがネット上で公開されているオープンソースの中にはGPLバージョン2でライセンスされているものも多く残っています。この場合どちらのライセンスに従えばよいのでしょうか?

結論から言ってしまいます。状況によって、バージョン2に従わなければならない場合と、必ずしもバージョン2に従わなくても良いけれどもバージョン3に従う意味がない場合に分けられると思います。だからバージョン2に従うべきです。
理由について説明していきます。

そもそもGPLバージョン2とGPLバージョン3は全く別のライセンスです。GPL作成者のフリーソフトウェア財団(=FSF)はバージョン3をバージョン2のアップグレード版として作成しました。しかし本来、法律文書であるライセンスにはアップグレードなどというものはありません。一度作成したライセンスは何年でも何十年でも効力を持ち続けます。それこそ著作権の保護期間が終了するまで有効なのです。
だからソフトウェアがGPLバージョン2でライセンスされていた場合はGPLバージョン2に従わなければなりません。

しかしFSFはバージョン2発表の時からGPLのバージョンアップについて考えていたようです。バージョン2にはGPLの改訂版についての規定がおかれています。GPLv2第9条2パラグラフがそれです。それによるとGPLバージョン3は以下のように取り扱われます。
①プログラムがライセンスのバージョン番号及び"any later version(後発の全てのバージョン)"を指定している場合に、あなたはそのバージョンまたはFSFにより発行された後発のいずれかのバージョンのどちらかの規定・条件に従うかにつき選択権を持つ。
②プログラムがライセンスのバージョン番号を指定していない場合、あなたはFSFによりこれまでに発行された全てのバージョンを選ぶことが出来る。
つまり①及び②の場合においては必ずしもバージョン2に従わなくても良いわけです。しかし実際にはバージョン3に従うメリットはありません。

バージョン2とバージョン3はその根幹についてほぼ同じです。つまりフリーソフトウェアライセンスであり、かつ、コピーレフトであるということです。
そしてバージョン3はTiVo化DRMといったバージョン2の抜け穴をふさぐための規定を新たに設けています。つまりバージョン2の方が(どちらかと言えば)要求してくる条件の緩いライセンスなのです
緩いライセンスと厳しいライセンスを選べるのなら緩いライセンスを選ぶ人がほとんどでしょう。ですからバージョン3に従う意味がないという結論になるのです。

そんなわけでGPLバージョン2でライセンスされたソフトを使うときはバージョン2に従うべきであるといえます。
2010/01/21(Thu) 16:37:50