十角館の殺人 / magicien 

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫) 今年10冊目。綾辻行人さんの「十角館の殺人」を読んだ。

ミステリーというジャンルの話をするとき、必ず名前の挙がる作品ということで、読書(主にミステリー)を趣味にすることを目標としている私としては、読んでおかねばならないと思い、買ってきました。
1987年の作品ということで身構えながら読み始めましたが、とても読みやすくて拍子抜けしました。20年程度では文体は変わらないのかもしれませんが、新装改訂版ということなので、文章も読みやすく手直しが入っているのだと思います。

登場人物たちはミステリ研究会のメンバー。第一章の冒頭で、登場人物の一人がミステリ作品のあるべき姿を語る場面があり、本作がミステリの転換点と呼ばれるのもこれが所以かもしれません。
物語は7人の研究会メンバーが十角館のある孤島に行くが、そこにはある復讐者による罠が待ち受けていた、という話。明らかに「そして誰もいなくなった」のオマージュであり、作中の登場人物たちもミステリー作品を知っているため、模倣犯ということになる。プロローグで犯人が手紙入りのビンを投げるのも、それに倣ってのことでしょう。
全員が「そして誰もいなくなった」を知っている状況で、それでも次々と人が減っていくという緊迫感、トリックの素晴らしさは傑作と呼ぶにふさわしいと思いました。騙されてスカっとしたのは久しぶりでした。

綾辻さんが小野不由美さんと結婚しているという事実は今回初めて知りました。本作で犯人が明かされたときと同じくらい衝撃でした。

2013/05/06(Mon) 03:06:19