鉄鼠の檻 / ノリオ 

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫) 京極堂シリーズ第4作。読み終えたので感想やら何やら。
箱根の山奥にある謎の寺で、坊主が次々と殺されるという話。前回の記事では書かなかったけれど、このシリーズの舞台は、戦後10年ほどたった昭和中期です。
仕事の用事で箱根に来た、本屋の主人で神主、憑き物落としを行う京極堂と、語り手であり友人の小説家関口がまたも事件に巻き込まれていく展開。

禅宗がテーマとなっており、宗教色が一層強くなっているのが今作の特徴。禅宗の歴史とか難しい用語とかたくさん飛び交うので、そういうのが苦手な人は読むのが辛いかもしれない。

このシリーズを読んで感心するのは、仏教などの知識がものすごいところもあるけれど、それ以上に非現実的なものに対する表現力だと思う。語り手の関口の病み具合も手伝って、得体の知れないモノ、異空間が上手く演出されている。

このシリーズの第一作『姑獲鳥の夏』と第二作『魍魎の匣』は映画化されていて、魍魎の匣はアニメ化までされています。姑獲鳥の夏が映画化される際にニュースであらすじを見て、面白そうだなーと思って読み始めたのが始まり(結局映画は見ていない)。
アニメ化されたときに1話を見てみたけれど、あの非現実感を再現しようと腐心しているかんじは伝わったが、なんだか陳腐になってしまっていると感じた。文字でしか表現できない世界があることを知りました。

映画の方は、京極堂を堤真一が演じているというので気になるけれど、原作でのあの台詞の長回しを映像化するのは無理があると思う。あと、榎木津のキャストが阿部寛なのは納得だが、鬼の木場修がまさかの宮迫だからなぁ。。。
2010/08/21(Sat) 02:40:10